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洞ヶ沢金山

調査日:2014.4.14

昨年、朴木沢金山を制覇したが、途中まで行って引き返した洞ヶ沢が唯一の心残りだった。時期を見極め、今年の春に!と心に決め、首を長~くして待っていたのである。

昨日、行った女牛鉱山のとてもいい状況を見て、もうウズウズして仕方がなく、本日、アタックすることにした。

女牛鉱山は、まだ草木が青々と生い茂る前だった。この状態なら昨年、ぬかるんで進めなかった洞ヶ沢も、かなりの奥までバイクで進み距離を稼げるのでは?と。また、見通しが良く利くので、抗口跡を発見しやすいハズと。期待に胸を膨らませ、高鳴る気持ちを抑えつつ、バイクを走らせた!

まずは、今回のルートだ。

昨年、ぬかるんで引き返した場所は、B地点あたり。ぬかるんでいなければ、かなり奥までバイクで進み・・・今回は楽勝だ!と考えていたのである。

今日は天気は良く、気持ちがいい。おっと、約1年ぶりのこの看板。ここからがスタートだ!

硬くしまった砂利道を進み、分岐点。バイクを一旦、止める。直進すれば朴木沢、左折すれば洞ヶ沢。アクセルをひねり、クイッと車体を傾け、左に曲がる。

ほんの数十メートル、いや、数メートル進むと、想像していたかった事が発生した!

道がない!!というか、川になっている!

たしかに去年は道だった。砂利というより、大きな石でボコボコ道。走りづらかったことを覚えている。なのにナゼ川?

かなり動揺した。予想もしていなかった事である。ハッと思い出した!そうだ、去年の豪雨だ!去年の8月、雫石、紫波地区にもたらした強烈な豪雨。全国ニュースにもなったほど、甚大な被害となった。まさか、ここにも被害があったとは。女牛鉱山があまりにも綺麗な状態だったので、すっかり忘れていた。

さて、どうしよう。仮に、歩いて進むとして、目的地までは相当な距離だ。仮に頂上付近まで行ったとして、約2kmほど。歩けば山道を考慮して片道1時間弱。現在時刻13:30。時間の都合上、15:00までにこの場所に戻ってこなければならない。残りタイムリミット1時間30分!ギリギリだ。

さすがにスタート直後で、引き返すわけにはいかない。さいわい水の量が少なく、歩いて行けば進めそうだ。この先がどうなっているか分からないが、まずは行って見よう。増水、もしくは崩壊していればそれまで。それならそこで引き返そう。

10メートルほど進み、振り返る。林道とは思えない、川だよ川。

岩がむき出しになっている。ハナから登山するつもりもなかったが、これは沢登りに近い。

洞ヶ沢

200mほど歩いた。15:40、切支丹長屋跡付近に到着。沢化とした道はここで終わりになっている。道の下に管を通し沢水を流していたが、その場所が崩壊していた。結果、道が川となっていたのだ。

長屋跡からは道は壊れていない。これならば普通に歩いて行ける。あとは時間との戦い。と、警戒すべき『熊』。熊が起きてくる時期だろう。腹を空かせていれば、アブナイ。熊よけ鈴を用意しなかったので、声を出し、手を叩き進む。

歩きやすい道もつかの間、・・・・崩壊している。水量が少ないので幸か不幸か、渡ることは可能。川底には白い石が多い。過去、見てきた金山も同じく白い石が多い。

道は悪くなり、細くなっていく。去年、引き返した・・と思われる場所、あまりにも地形が変わっているので、たぶんココ。

なぜかヤカンが落ちていた。上流から流れ着いたものだろう。つまり上流に人がいたという事。この先、一体なにがあるのだ?

写真では分かりづらいかもしれないが、真ん中の木の後ろ側に窪みが見える。掘った跡?それにしても不自然な窪みだ。

さらに道は険しくなる。相当な水が流れたのが伺える。時間にはまだ余裕があるが、どこで引き返すか?GPSで場所を確認しようとしたが、キャッチできず特定できない。歩いてきた時間からみて、1kmぐらい進んだか?

比較的大きな白い石を手にとって、よーーく見た。うーむ、金は見えん。

そろそろいい加減に引き返すかどうか思っていたら、

!?遠くの方に何かが見える!!一気にテンションが上がる!

はやる気持ちを押さえ、足場の悪い道を一歩ずつ進む。おぉ!!右手に建物が!!

つ、つぶれている。雪の重みでつぶれたのだろう。さすがに中は確認できない。看板らしきものも見えない。いつ頃のプレハブだろうか?さっき発見したヤカンはここから流れ着いたものだろう。 それにしてもスゲーな。

遠くから見えていたものは祠だ。その横に、坑口跡!

発見!!

ついに見つけた!祠はここら一帯を守っているのだろう。それにしてもよく豪雨に耐えた。坑口跡に感動しつつ、一礼。

さて、地図を確認。おそらくココは大切抗。事務所らしきプレハブの裏手に洞ヶ沢抗があるハズ。ただ、倒木がひどく進めない。祠の横に道がある。その先には何が?

現在時刻14:00。30分でここまで来た。あと30分進んでも、15時にはスタート地点に戻れる計算だ。

この先を見たい!!このまま引き返すのは後悔する。行け!GO!!だ!!!

4月とはいえ、革ジャンでの山登りはキツイ。重いし通気性は悪いし、シャツはグチョグチョだ。

現在C地点。右方向に沢(写真)。この奥には金龍抗があるのか?人が入った形跡なし。登れなくはないが、迷ったらおしまい。道筋が見えるまっすぐの方向を進む。

道幅は狭く、倒木がひどい。雪によって倒れたものだ。

木の下に窪み。熊でもいるのか?ビビッて覗くが姿は見えず。それとも掘った跡?

ぎょえぇぇーー!倒木で道が塞がっている。

木をくぐり抜け進む。革ジャンに枯れ木が擦れる。

現在時刻14:16分、D地点。頂上はもう少し。こ、これ、進めるのか?えーい!いくしかない!

道筋復活!ここまで来たら、行くしかないでしょ!さっきより倒木が少なく、ラクに歩けるようになった。

おぉ!山の尾根が見える!この先、またしても道筋が見えない。

この斜面を登ってしまえ!結構、急斜面だ。滑らないよう慎重に登る。ぜぇはぁーぜぇはぁー。ここを登ってくる人は何人もいただろうが、革ジャンで登ってくるバカは私だたひとりに違いない。

なにか見える。熊穴か?それともココも坑口か?頂上付近に不自然な窪みがある。人工的にも見えるが、人工物は見えず。

14:26。頂上ではないが山の尾根に到達!北側の山が見える。鉄線も見える。

南側、朴木沢方面だ。ここから尾根づたいに歩けば頂上に着く。ただ、ワタシは登山をしに来たのではない。

はっきりとした坑口は1つしか発見できなかった、ここまでくれば満足だ。名のある山があるわけでもないし、私の中では、もう進む意味がない。

それにしても気持ちが良い。

もう一度、先ほどの窪みを確認。んーー、自然に出来たものではない気がする。というか、そう思いたいといったところか。

来た道を戻るのは、急斜面を降りなければならない。下りは嫌だなーと思ったら、道筋が見える。グルっと遠回りになるが、歩くのはラク。よく見れば、朴木沢方面に続く道もある。行けるのか?まあいい、時間が無いし元来た道で戻ろう。

15:05、切支丹長屋跡付近に着く。古い車が、枯れ木に隠れていた。この車が朽ち果てる頃には、ここはどうなっているのだろう?その頃、もう一度来てみたい、洞ヶ沢。

一時はどうなるかと思ったが、たどり着くことができた。金山・隠れ切り支丹の里はこれにて完了、だ。

あ?たどり着いたのは、大切抗であって、洞ヶ沢抗は発見できてないよな~でも、次はない・・・と思う。

終わり