time stop

目指せ!中津川源流&秘境駅、浅岸駅!

探索日:2013.5.22
作成日:2015.12.8

2015年11月末、飛び込んだニュースに驚いた!『山田線の大志田駅及び浅岸駅、廃止検討』。そもそも、山田線盛岡―宮古間は列車本数が少ない上、その中でも停車するのは上下合わせて大志田駅が3本、浅岸駅が2本のみ。そのため利用者は少なく、2014年の利用実績は、1日あたり大志田駅が0.4人、そして浅岸駅が0.3人。さすがのJR東日本も、盛岡市に廃止の意向を伝えたんだとか。両駅とも2013年からは冬期間(12月から3月)は通過のみなので、私がこのニュースを知ったのが11月29日、つまり廃止が決まれば30日が最後の停車となってしまうのだ。さすがに仕事なので休んでまで乗車はできないが、廃止となればあの秘境駅ともお別れとなり、もう2度と入る事はできまい。あぁ、残念で仕方がない。そんなわけで話としては古いのだが、以前に探索した中津川の源流と浅岸駅訪問の記事を書きたいと思う。

追記)2015年12月11日(金曜日)、JR東日本は大志田駅、浅岸駅を廃止すると発表した。そして、なんと発表した夜に、山田線で大規模な崩落があり、列車が土砂への乗り上げて脱線事故を起こすという大事故。山田線の怒りとも思える崩落だ。2016年2月現在でも山田線は運休中なので、春以降、2度と停車することなくこのまま、大志田駅と浅岸駅は完全に廃止となってしまだろう。

中津川の源流って?どこ?

盛岡市市内を清らかに流れる、中津川。夏には鮎が泳ぎ、秋には鮭が遡上する。春は花々が咲き、冬は白鳥が舞い降りる。澄み切った水に、花も魚も鳥も虫も、そして盛岡市民からも愛されている。

『はて?中津川の源流ってどこだ?』

Wikipediaによると『北上山地の御大堂山や岩神山・阿部舘山などの沢を源流とする。』と書いてある。ネットで検索しても、【阿部舘山の西側】と書いてあるものもあり、どうも曖昧だ。国土地理院の電子地図を見ると、阿部舘山に西には甲子又沢(きねまたさわ)があるが、そこか?

調べていくと、1冊の本に巡り合えた。『岩手もりおか 中津川の旅』、だ。その中では、有力な候補として、『甲子又沢(かしまたさわ)』が源流らしい。先ほどの甲子又沢(きねまたさわ)とは場所が違う。漢字は同じでも、読み方が違うようだ、紛らわしい。国土地理院の地図だとイギツネ沢の隣となる。ここだ⇒http://yahoo.jp/1vqRrsとりあえず、有力候補1番の甲子又沢(きねまたさわ)に行って見よう!

綱取ダムよりやる気茶屋を横目に林道を進む。

やる気茶屋

ここより先は【御大堂林道】となるため、砂利道だ。ここに曲がり入らず、直進すれば舗装道路となり、今はどうだか知らないが、盛岡の走りスポットである綱取へと行く事となる。夜な夜な走り屋たちがドリフトを楽しむために集まり、タイヤをキュルキュル鳴らしながら車を滑らし、中には、ガードレールに突っ込み谷底に落ちる・・・。ワタシはあくまでも、中津川沿いと走りたい!という理由で、御大堂林道を選んだワケだ。

御大堂林道はそれ程、道自体悪くないが、ところどころ落石があるので注意が必要だ。思ったより山の上を走るので、中津川は、はるか下の谷底で流れていて、よく見えない。というか、走行中は、中津川に集中してしまうと綱取のドリフト小僧ではないが、谷底の落っこちてしまう危険があるので、凝視できない。

御大堂林道の眺め

標柱には全長7309mと表記してあったが、長い。オフロードバイクではない非力なモンキーでは、トコトコと走ることしかできず、さすがに飽きてくる。

御大堂林道を抜けた

なんとか長かった御大堂林道抜けると、そこからは全線舗装道路だ、ふぅー。標識には浅岸駅まで15km・・・・・ん??ナニカやって来る!?熊か!? 一瞬、身構える!!が、・・・・いや、犬でした!

それにしても、この犬、野良?それとも放し飼いのペットか?寄ってこないだろうな?噛まれたりしないよな?と、心配をよそに、スタスタと、ワタシの構わず去って行きました。なんなんだ?首輪はしてあったので野良ではないようだ。ひとりで散歩へ行ってきたのか??

遠くへ行ってしまった犬を確認して走り出す。ここからはホント、気持ちよく走れた!道幅はそれ程広くはないが、モンキーでも快適だ!

中津川の川沿い

道路の脇で流れる中津川は、とても綺麗だ!そして、この先に、目指す中津川源流があるはずだ!ポツリポツリと民家がある。人も住んでいるようだ。正直、こんな山奥に住むなんて不便極まりない。しかし、昔からの住人でこの土地を守り、不便を不便と感じず暮らし続けているのだろう。現代が快適すぎるんだな。感慨深げに景色を眺め、しばら走ると、なにやら見えてきた。

いよいよ、秘境 浅岸駅!
中津川学校

廃校となった中津川小学校だ。昭和32年(1957年)に開校し、わずか16年後の昭和48年(1973年)に廃校という短い歴史の小学校だ。その廃校となった中津川小学校の後ろに中津川を挟んで、なにやらホームらしき建物と標識が見えるではないか!

浅岸駅

ついに!浅岸駅!到着だ!

浅岸駅ホーム

ここへ来た誰もが思うはずだ、『おぉ!秘境駅!』 なにせ、見渡しても民家の『み』の字もなく、あるのは木、そして木。山のど真ん中に駅がこ忽然と立っている。いった誰が利用するんだい?それにしても、なぜにこんなところに、苦労してまで線路を渡したんだ?民間利用ではなく別な目的があって山田線を作ったのではないか?そう疑いたくもなるほど、へんぴな場所だよ。

ここで昼食。もってきたおにぎりを頬張りながら、まったりと過ごす。ポカポカ陽気で気持ちがよい。

浅岸駅 時刻表

ホームには小さな建物(これが駅舎となるのか)あり、とても本数の少ない時刻表が貼っている。また、片隅には、寄せ書きノートが置いてあり、なにやら色々書き込んでいるようだ。ほうぉほうぉ、みんな思いは一緒のようだ。関心しながら1枚1枚ページをめくるも、ギョッ!とするカメムシのトラップがあるので気をつけるべし!

浅岸駅 列車通過

さぁ、そろそろ行くとするか!と思った矢先、タイミングよくファーン!と警笛がなり列車が横切った。こんなのんびりとした風景なら、電車の旅も悪くない。

もう一つの目的地、中津川源流へ
甲子又沢分岐点

浅岸駅にもうしばらく居たい気持ちはあるが、今日の目的は、もう一つある。先へ進もう!浅岸駅を後にして道なりに走ると、目指す『甲子又沢』へ分岐点。本道から外れて、砂利道を進む。

中津川源流手前

道の脇には、清らかな川が流れている。川というか渓流だ。この渓流がが中津川の元になる川か!

イギツネ沢分岐点

中津川源流に近づいてきたんだな、と感心しながら、さらに進む。途中、第2候補のイギツネ沢へ分かれる分岐点(写真左側がイギツネ沢方向)。イギツネ沢へは草がボーボーで、モンキーでは辛そうだ。重機があるが、なにやら作業中なんだろうか?通行止めなんて勘弁だぜ。周辺には人気はない、そのまま甲子又沢の先へ進もう(写真右方向)。ちょっとドキドキしてきた!なんせ、この先に中津川の源流があるのだ!!・・・・むむ??

通行止め

あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!チェーンだ!!クソーーー!!進めん!!まさかの社有地に付き、立入り禁止だと、よ!!

あぁぁーーと肩落とし落胆していたら、チェーンの遠くのほうから『チャリン!チャリン!』と鈴を鳴らし、奥からおじさんがやってきた。どうも、山菜取りで来ているようだ。立ち入り禁止をお構いなしに入っていいのか?うーむ、気になって声をかけると、『誰もいないようだぞ。』と。さらに、途中、伐採の為かそれらしい重機と車があったて、この先以降で作業しているようだが、『今』は誰もいないとの事。

おじさんはチャリン!チャリン!と熊よけ鈴を鳴らしながら下山して去って行った。・・・・・どうしよ、地図上だとあと2kmぐらいで源流付近だが・・・。

・・・・と・とつにゅうだ。

中津川源流

何かを採取するわけでもなく、地形を壊すでもなく、ただ見て確認するだけだ。などと自分に言い訳しながら、奥へ進む。ところどころ沢があるが、とりあえず一本道を進む。

中津川源流

1kmも歩いただろうか?道は荒れ狭くなり、いよいよ斜面もきつくなる。地図上では1000m級の山なので、そのあたりまで登らないと源流にはたどり着かないかもしれない。距離にしてあと1kmってとこか?

はぁ~ぁ、もうやめよう、ここまでだ。立ち入り禁止の私有地だしね。

幾つもの沢が交じり合い、1本の川となる。今日見た沢も、中津川の元の1つに過ぎないんだよね。よって、中津川に限っては、『これが、源流だ』とは断言するのは難しい気がする。

106号線

そのまま降りて、106号へ抜けた。御大堂林道を通らず、別ルートを行けば全線舗装道路なので、なかなか気持ちいルートだ。今回は、5月末ということもあり、丁度良い気候で暑くもなく寒くもなく、とても気持ち良かった!今度は紅葉の時期にでも走ってみようかな!